【優秀賞】山と川に囲まれて

中学生の部

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絵:常葉大学造形学部2年 石井真由美

山と川に囲まれて

富士市立富士川第一中学校2年 蓑 旺佑

みなさんは、野田山と富士川をご存じだろうか。富士川の西側には、野田山がそびえている。富士山や駿河湾が一望できる標高四七〇メートルの山で、頂上付近にはキャンプ場が整備されている。

一方、富士川は一級水系の河川であり、日本三大急流の一つに数えられている川である。かつては、日本の動脈といわれていたように、東海道の通り道であったことから、富士川渡船や舟運の拠点として栄えた。大雨が降った時に、富士川橋から川を見下ろすと、息をのむくらいの茶色い濁流をよく目にする。

このような山と川に囲まれた土地で、僕は暮らしている。しかし、近年の猛暑や大雨が示しているように環境が変化してきていることを実感している。

僕が幼い頃は、自宅の駐車場付近には沢蟹がいた。自宅の裏山には、水源がありその周辺にも、多くの沢蟹が生息し水遊びをした記憶が残っている。しかし、その土や草で覆われていた水源の水路の土手は、いつの間にかコンクリートで覆われ、沢蟹はほとんど見られなくなった。生物が生きていける環境が、段々と少なくなってきているのだ。環境の保全と、水害や土砂災害防止のコンクリートの設置、どちらを優先させるべきか考えさせられる。さらに、以前は夜になると山からフクロウの鳴き声をよく耳にしていたが、現在はあまり耳にしなくなった。僕は、こうした身近な生物のちょっとした変化に気付く機会が多くなったと実感している。

また、僕の祖父母は裏山で先祖の代からみかんを生産している。みかんの病害を予防するために年間スケジュールを組んで薬剤を散布している。しかし、予想もできない突然の大雨により予防を中止せざるを得ない日がある。みかんの葉が濡れていると予防ができないのである。私たちの食べ物の生産にも影響が出ている。このようなことからも、環境の変化を感じている。

そして、僕が通学している中学校は、富士川の土手の横に建っているため、大雨で川が氾濫するなど想定外のことも考えると恐怖を感じる。雨が降った際、通学路にも水が勢いよく流れている箇所もある。この異常な気象も人間が作り出しているものだと考えると、複雑な気持ちになる。

誰かが自分の利益や私欲のために環境を破壊する。これはポイ捨てから大規模な森林伐採まで様々なものがある。誰かが「まあいいや」と思うたびに、生物や植物が生きていける環境が狭まり、生物が死んでしまうと思うと心が痛い。

僕は、自然豊かな環境に暮らしているからこそ、生き物や植物の変化を感じ取れるこの感覚を忘れないようにしたい。この身近に感じる環境の変化から、環境保全の意識を持ち続け、故郷を守っていきたい。