
絵:静岡県立清水東高等学校1年 小玉紗久野
守るべきもの
御前崎市牧之原市学校組合立御前崎中学校3年 坂本 結愛
ある所に海が大好きな小さな男の子がいました。海は、綺麗な青色をしており、いつも輝いていました。その為、訪れる人も多く皆から大切にされていました。男の子が海で遊んでいると、どこかで「ありがとう」という声が聞こえてきました。男の子はふと顔を上げても周りには誰もいませんでした。しかし、男の子は「海の声」だと感じて、
「いつもありがとう。」
と、海に向かって感謝を伝えました。男の子が中学生になった時、医者をやっているお父さんが言いました。
「お前は私と同じ医者を目指せ。」
男の子はこの言葉に対して、
「僕は漁師になりたいんだ。」
と返します。その時、お父さんは机を叩き反対しました。お父さんは過去に津波によって友人を亡くしてしまったのです。その為、海に関する職業をやらせたくないという気持ちがありました。男の子は黙って俯くことしかできませんでした。
月日が経ち、男の子はいつものように勉強していました。ふと窓に目をやるとすぐ違和感に気付き、慌てながら外へ出ました。向かった先には、多くのゴミが落ちていて、ひどく汚れた海でした。あまりの衝撃で言葉が出ず立ち尽くしていました。昔に比べて人も少なく、輝きも失っていました。そして、微かに声が聞こえました。「助けてほしい。」と。男の子は見捨てる事が出来ず、ゴミ拾いを始めました。そして次の日、また次の日と男の子は海に行ってゴミ拾いを続けました。その姿を見たお父さんは反対しましたが男の子は諦めませんでした。次第に男の子を見習って近所の人やクラスの人が手伝ってくれるようになり、町からは高く賞賛されました。
あれから数年が経ち、男の子は社会人になりました。彼は海上保安官になりました。そして、この職に就いた理由をこのように語りました。
「父親からはひどく反対されました。確かに自然災害により亡くなる方は多くいます。しかし、私達は海があることによって今を過ごすことが出来ています。海には海にしかない役割があり、私達を支えてくれています。だからこそ、海は守るべきものだと考え、この道を選びました。」
社会人になってからは海の声は聞こえなくなりましたが、彼は一瞬、海の方からある一言が聞こえたといいます。
「ありがとう。」と。